ジョアン・ジルベルトの初来日は画期的な出来事だった。そのライヴ盤が発売されるとは、これまたビッグ・ニュース。当初、ライヴ録音の予定はまったくなかったのだが、当のジョアンが日本公演に大満足し、ぜひライヴ盤を出したいと言い出したのだそうだ。そのため、ここに聴かれる音はジョアンが個人的に聴くために録音されたDATが音源である。全15曲。そのすべては2003年9月12日の東京国際フォーラムAにおけるライヴ録音。この日のステージに一番満足しているからだという。当日は全23曲を披露したが、音質上の問題でボツにせざるをえなかった8曲を除いた全曲が、実際のコンサート通りの順にここに収録されている。

ギター1本で淡々と歌うジョアン。これほどシンプルなフォーマットで、これほど深い世界を聴かせるアーティストは、ちょっとほかにいない。そのことをあらためて痛感させられるライヴだ。なおドリ・カイミの「アコンテッシ・キ・エウ・ソウ・バイアーノ」と10曲目の「ロウコ」はこれがアルバム初収録。ファン必聴の感動的ライヴ盤だ。(市川正二)

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1. アコンテッシ・キ・エウ・ソウ・バイアーノ
2. 瞑想
3. ドラリッシ
4. コルコヴァード
5. まなざし
6. イスト・アキ・オ・キ・エー!
7. ウェイブ
8. マダムとの喧嘩はなんのため
9. リジア
10. ロウコ
11. 紙風船
12. ホーザ・モレーナ
13. 思い知るがいいさ
14. アデウス・アメリカ
15. プレコンセイト
16. 十字架のもとで